対象者
性別 | 女 |
年齢 | 4歳 |
診断・症状 | 気管切開 経管栄養 |
実践者
保護者(母) | 学校現場における「医療的ケア」(吸引・経管栄養・導尿の補助)についての実際と、教育についての本です。 大阪での肢体不自由教育のあゆみから、医療的ケアに関する振り返り、また重度障害をもつ子どもたちへの、いろいろな立場からの関わりがまとめられています。 |
ハウツー

- 大阪市立平野養護学校の先生は、訪問教育と医療的ケアの関わりについて具体的に、生徒を訪問する様子や、学校行事等のお話を交えて執筆されています。
医療的ケアを必要とする子どもたちのお母さんのためにも子どもと教師が一対一で接する時間が大切だ、と述べられてます。
宿泊訓練などの行事においては、お母さんも付き添うのですが、できるだけ先生に任せて友だちと過ごす時間を作るようにし部屋も別にして過ごすことで、自信につながる、とも。
また、交野養護学校の校医による講演の中で学校スタッフによる医療的ケアが行われることには、さまざまな意義があるというお話があったとのことでした。
それは、子どもの自立心や精神的な成長、さまざまな活動への参加という「教育的意義」。
学校でも医療的ケアを実践されることで健康・生命が維持できる「医療的意義」。
私がとても心に残ったのは「福祉的意義」で、それまで母親が24時間、医療的ケアを強いられていたことへの負担を軽くできること、それから障害児のきょうだいのケアができること、という内容でした。
最後に、第一びわこ学園の理学療法士の先生の言葉がとても印象的でした。
「ヒトは見ようと思うようにしか見えない」
呼吸リハビリテーションについて述べられているのですが、
『呼吸リハビリテーションに関する多くの出版物では、呼吸障害の発生メカニズムや具体的な呼吸介助方法など知識や技術面に焦点があてられ、呼吸機能障害により困っている子どもや家族の姿が思い浮かばないことが多々あります。それは、援助している対象が「肺」や「胸郭」であって呼吸障害に障害をもって生活している子どもや家族ではないからです』
子どもたちの気持ちになって援助することが大切だと書かれています。子どもを一人の「人間」として理解するように努めることが大切だと。
コツ・ポイント
こういうスタンスで子どもに関わってくれる人って、こちらにも伝わってきますよね。子どもも、どういう関わりをしてもらえるかということに、とても敏感な気がします。
温かい関わりをしてくれる人がいるからこそ、親は子どものためにと頑張れるし、この人になら任せられると信じることができてこそ、親は自分の時間が持てるのだと思います。
この本の中には、普段大変お世話になっている方や、過去に出逢った大先輩が執筆された章もあり、とても読みごたえのある一冊でした。
ちいさなふたば